〇店頭でお試しいただけます。
満を持して発表された「ねこだまり工房 自家製蜜蝋ピックアップ」。そのなかでも”クラシック蜜蝋”を用いたモデルをウッドヴィレッジでは試奏いただけます。
蜜蝋ワックスを作っていたねこだまり工房がナゼ、ピックアップを作るに至ったのか。その件ついては上リンク(※ねこだまり工房Officialサイト)より閲覧ください。
〇サウンドの印象
まず初めに音を出した際に得たのは『こう来たか…。』というインプレッションでした。というのも、Fender、Gibsonも含めLACE、ダンカンやディマジオなど(挙げだすとキリがない…)リプレイスは往々にして、PU自体のキャラが濃くガラッと印象が変わるものが多いです。特性が掴みやすいというか、いち商品として大体どのギターに載せて変化がもわかりやすいように作ってあるのでしょう。
その中で本PUは楽器のもつ特性(※)を活かすトーンバランスにまとめられている。低出力でPU自体の味付けは非常に透明かつワイドレンジ。つまり、これがねこだまりの音だ!ではなく「お手持ちの楽器に寄り添うようなキャラクター」、といった印象でした。
※ ここでは以下の意味合いです。
- ・各弦の分離感
- ・一音の立ち上がりまでのスピード
- ・減衰の具合
- ・ダイナミックレンジの広さ
- ・大まかなミッドの重心の位置
【クラシック蜜蝋ピックアップ(STセット)のスペック】
アルニコ2 / 0.05銅線 / 6500ターン / クロスワイヤーリード線 / クラシック蜜蝋ワックスポッティング / センターのみリバースワイヤリング逆着磁 / インチ規格
〇おもしろい点
先述の特徴自体は別段珍しいものではございません。一般的にハンドメイドピックアップ!と謳われるものは低出力で、その透明なキャラクター性を備えていることがしばしば。しかしながら展開される価格帯やサウンドに関する商品参入が今までなかったねこだまり工房、という前提を考えると、この方向はなかなか面白い。始まったばかりのプロジェクトな訳で既存の商品に対してどう差別化を図るのか、どんなサウンドで勝負してくるのか、と気になっていたところを斜め上に飛んでいった雰囲気ですね。
とはいえ、蜜蝋ワックスも含め。楽器本来の素朴な良さを引きだしてくれるという点は共通している。 商材は変われど一貫したスタンスが垣間見えるのが、なにより面白い点だと感じました。
<TONEやVOLUMEの追従性も良好。というより、積極的に手元で音色をコントロールしたくなるオープンなバランスです。>
〇注意点を正直に言えば
本モデルに関して言えば、しっかり歪ませたい方や重厚なボトムをお求めの方にはおすすめはできません。軽やかで空気感があり、ピッキングレスポンスに忠実なキャラクターなので、荒く弾けばボヤけて散らばり、しなやかに芯をとらえれば艶やかな立ち上がりを得られる。弾き手のニュアンスによって良いほうにもイマイチなほうにも転ぶ…なかなかその、鏡のような反応性がストイックな印象を受けます。そのため自身が鳴らすギターサウンドに対してその素直さが逆に邪魔になる、と感じる方にはおすすめしにくいモデルといえるでしょう。
〇ギター本体の詳細
ATELIER Z – L.E.S.(LOWER EAST SIDE)
Body : Alder
Neck : Maple
Fingerboard : Rosewood(Jacaranda)
Weight : 3.6kg
Wiring : Clothwire
Capacitor(Neck/Center) : Wurth Elektronik WCAP-FTBP
Capacitor(Bridge) : Cornell Dubilier Type150
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